【男の子の亡霊】
(November-2014)




20年近く前の出来事である。

私は高校時代からの友人のF君と、和歌山方面へドライブに出掛けた。

湯浅という所で水を汲んで、その帰りに金山寺のお味噌やお醤油を買って帰宅しようとしたが、折角来たのだからもう少しブラブラしようと、山道なんかを走ったりした。

そろそろ夕方に近くなったので、帰阪しようと国道へ合流する為、細い住宅街を走っていた。

当時私はリンカーンというフルサイズのアメ車に乗っていて、車幅がかなり広いので前から車が来たら擦れ違うのは無理かも…と思いつつも、国道合流を目指した。

すると、前から白いクラウンが来てスピードを落としながら我々の様子を窺っている。

丁度、我々のいる所に誰も住んでいない荒れ果てたアパートが在って、少し凹んだ部分に幅寄せして相手が通過するのを待つ事にした。

そして、ぼろアパートのすぐ前、則ち我々のすぐ左隣に大型トラックのタイヤが2段重ねで置かれているのが何故か気になり、白いクラウンが通り過ぎる間、暫く見ていた。

…助手席のF君も何か気になったのか、身を乗り出してタイヤを見ている。

すると、そこには…

タイヤの真ん中の空洞部分から、小学生位の男の子がニョキっと顔を出して私の方を見ているではないか!?

その男の子は緑色の野球帽を被り、白と紺の縞模様のトレーナーを着て、顔も日焼けして如何にも"スポーツ少年"って感じだった…

そして、我々の車が発進する頃には消えていた。

無論、男の子はこの世の者ではない。

嘗ては、この世で活躍した一少年だったのだろう…

その時F君が言った一言が、今もはっきり記憶に残っている…

………………………『悔しかったんやろなぁ…』

………志、半ばにして…………

………無限の可能性を秘めた………

色んな言葉が甦る………

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